会長挨拶
 
 

  埼玉医科大学総合医療センター

   総合周産期母子医療センター 教授

         馬 場 一 憲
 

来る825()26()の2日間、ホテル仙台プラザ(仙台市)において、第30回日本産科婦人科ME学会学術集会を第17回日本台湾産婦人科超音波・周産期シンポジウムと併催の形で、また、第34回世界胎児新生児生理学会と一部共催の形で開催させていただくことになりました。

日本産科婦人科ME学会は、1978年に日本産科婦人科ME懇話会として発足し、以来毎年、学術集会を開催して、ME(医用電子工学、医用工学)などを駆使して我国の産婦人科の発展に大きく貢献してまいりました。最近は、MEに限定せずに扱う領域を拡大し、学会としての一層の発展をみています。また、本学会は、我国で開催された国際胎児病学会、国際産婦人科超音波学会、アジアオセアニア周産期学会、国際周産期ドプラ学会、世界周産期学会を主催またはサポートすることにより、国際的にも貢献をしてまいりました。

今回、第30回という節目の大会を企画するにあたり、学会員の自由な発想に基づく一般演題を募集すると同時に、ME懇話会の時代から培ってきたことを再認識するという意味で、「30回記念」「国際性」「モノ作り」「超音波診断」「胎児心拍数図」をキーワードにプログラムを作成いたしました。

30回記念」としては、本学会(発足当時は懇話会)初代会長の前田一雄先生に、「日本産科婦人科ME学会のルーツと生い立ちを語る」と題するランチョンセミナーをお願いいたしました。

「国際性」に関しては、特に若い先生方に世界に目を向けてもらいたいとの願いから、25()の午後は、第17回日本台湾産婦人科超音波・周産期シンポジウムにあてて台湾の先生方との交流を、また、26()の午後は、34回世界胎児新生児生理学会(会長:岡村州博東北大学産婦人科教授)の特別講演のセッションを本学会との共催とすることにより、海外の著名な先生方のご講演を聞けるようにいたしました。幸い、台湾からは、約30名の主として周産期を専門とする先生方に事前登録していただくことができ、懇親会では、同伴するご家族を含め、約60名のお客様を迎えることになりました。

 「モノ作り」に関しては、無いものは何でも自分で作るという方針を貫き、我国独自の人工心臓開発を行ってこられた、元東京大学医学部医用電子研究施設臨床医学電子部門教授の井街宏先生 (現東北大学教授)に「無い物は自分で作る−人工心臓もモノ作りから始まった」と題して、研究におけるモノ作りの楽しさやその意義について、特別講演をお願いいたしました。

 「超音波診断」については、一部の専門家による超音波診断技術がどんなに進んでも、一般の先生方が使えない、あるいは使ってもらえないのであれば、あまり意味がないと考え、「全胎児を対象としたスクリーニング法の提言」と題するミニ討論を企画しました。ここから、一般産婦人科医師向けの具体的な提言ができればと願っております。

 「胎児心拍数図」に関しては、日本産科婦人科学会が心拍パターンの定義を変えましたが、それによってどうなるのかということを「FHRモニタリング ― 新しい診断基準の設定に向けて」と題して、昭和大学産婦人科教授の岡井崇先生にランチョンセミナーの形でお話いただきます。

 また、近年、産科医療の崩壊が急速に進行して大きな社会問題になってきていますが、学会は社会と遊離した存在であってはならない、本学会として何かできることはないかと、「産科医療崩壊阻止 ―ME、ICTができること」と題する特別セッションを企画し演題を募集しましたところ、7演題の応募を頂きました。この特別セッションが少しでも産科医療崩壊阻止に役立つことにつながればと期待しております。

今後の我国の産婦人科領域の研究、臨床のさらなる発展のために、また、世界の方々との交流のためにも、多くの学会員の方が、学生や初期研修医、あるいは若手同僚を誘って、ご参加いただけますようお願い申し上げます。